会員各位 いま必要な東日本大震災地支援のお願い                             今村 義典

東日本大震災から、10ヶ月が過ぎました。震災直後は、医師会や各医療関連団体など多くの支援団体が、物心の支援と救援に駆けつけ、急性期は乗り切りましたが、現地は多くの問題を抱えながら復興に向けてそれぞれの立場で頑張っている状況です。 私は、完全に壊滅してしまった岩手県陸前高田市の県立高田病院(現在プレハブの仮設病院)のリハ部門の復興に不定期(宿泊施設の確保の不備などで毎月1週間程度)ながら参加し7ヶ月になります。被災状況の把握は陸前高田に限られますが、他の地域も情報から同様な状態ではないかと推測しています。 高田病院の診療体制は現在外来のみで、今年2月1日よりプレハブの仮設入院病棟40床が再開される予定で工事中であります。このような状態ですので、リハ訓練室は、管理棟および医局として使われているため、片隅に訓練スペースとして訓練台と平行棒程度の状態で、5名のリハスタッフが1名ずつ交代で外来患者に対応し、残りの4人は地域の住宅・仮設住宅や施設に出かけて訪問リハの形態をとっています。 私も訪問診察とそのフォローに、リハスタッフと一緒に行っています。患者の種類は、ほとんどが廃用症候群です。1)陳旧性の脳卒中後遺症者が放置されていたり、肺炎等感染症の合併で急性期病院に入院治療中に廃用が進行した。2)震災を転機に喪失感からの臥床生活となり屈曲対麻痺姿位となり、両側膝関節の屈曲拘縮が発生し歩行困難となり寝たっきりになった。3)基礎疾患の増悪で再入院をしたり、施設へのショートスティで廃用が進行したなどです。 リハ的立場で診ますと未だ対応可能と考えられる方が大勢居ますので、積極的な起立歩行訓練、膝関節拘縮の改善で歩行の回復、ADLの改善を治療することが必要であります。 また、2月からは急性期対応の県立大船渡病院との連携で入院リハの患者の受け入れも必要になります。 高田病院においては、リハ機器の全てが津波で流失し、平行棒など最小限の機器の補充はされていますが、補装具などの補充は遅れておりマンパワー不足に加えて必要な機器がない状態であるため、数少ないリハスタッフの活動を更に高負担にしている状態が認められます。 元々、三陸沿岸地域は、義肢装具製作所が地元に無く盛岡市から出張で対応されていた状態のようです。 この物余りの時代に出来る支援として、各施設で不要となり廃棄処分するような補装具で、特に急性期治療に必要な支柱付短下肢装具・長下肢装具、ダイアル継手付膝装具・長下肢装具などが数種類あるだけで、現地のセラピストの作業および患者の歩行訓練を助けることが出来ます。 既に、支援物資や介護保険等で車椅子などは比較的提供はされていますが、リハ施設では、何所にでもあるような治療に必要な補装具類が皆無に等しい状態です。 復興予算などで訓練室のリハ備品や診療器具の対応は順次行われていますが、補装具の様な一寸補助的に必要とするような物が現場で皆無の状況は、現場でしか理解しにくい不便でありますが、被災地の職員は支援を依頼することも分からない状況かと考えられます。このような状況を理解され、不要になりました下肢装具等を1,2本でも備品用としてご提供頂きたくご協力をお願い申し上げる次第です。  

送付先:029-2206 岩手県陸前高田市米崎町字野沢34-1     
岩手県立高田病院 リハビリテーション部     
Tel:0192-54-3221